INDEX
1.
ヘルペスとは
2.
症状
3.
検査方法
4.
治療方法
5.
予防方法
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)あるいは2型(HSV-2)が性交渉によって感染し性器に症状を起こすウイルス感染症です。ここでは性器ヘルペスのお話をしますが、多くの方が感染しており、口唇ヘルペスをお持ちの方も多いと思います。 これまで、性器ヘルペスはHSV-2が原因で、口唇ヘルペスはHSV-1が原因とされていましたが、現在ではオーラルセックス(咽頭性交)の一般化していることもあり、性器ヘルペスや口唇ヘルペスに関わらずHSV-1とHSV-2がほぼ同程度に検出されます。唾液中にウイルスが混ざっており、陰部の症状がなくてもオーラルセックスで感染することもあります。 HSVは性器に感染すると神経を伝わって上行し、主に腰仙髄神経節に潜伏感染します。(症状は無くなっても体の中に潜んでいます)疲労や性交渉などの刺激によって、ウイルスが再活性化し神経を伝わって下行し、再び皮膚や粘膜に症状を起こします。薬によってもHSVを完全に死滅させることができないので、体から消えることはありません。2019年の全国統計では、性器ヘルペスは約9,400件と報告されており(下記「性器ヘルペス報告数推移」参照)、再発が特徴的な性器ヘルペスは20代後半にピークとなってから,60代後半までなだらかな減少傾向を示し,クラミジアや淋菌感染症と比べ広い年齢層にみられます。
男性 性交渉による感染から2-10日の潜伏期間後に外性器に発症します。陰部の周りにかゆみや違和感を伴った1-2mm大の水疱が複数できます。3-5日目から水疱は破れ痛みのある潰瘍ができ、7日目前後に一番症状が強く、亀頭や陰茎体部に病変がみられることが多いです。また、鼠径リンパ節の腫れや尿道分泌物も見られます。アナルセックス(肛門性交)があれば肛門周囲や直腸粘膜にも病変が出現します。また、発熱を伴うこともあります。 女性 性交渉による感染から2-10日の潜伏期間後に外性器に発症します。陰部の周りにかゆみや違和感を伴った1-2mm大の水疱が複数できます。3-5日目から水疱は破れ痛みのある潰瘍ができ、7日目前後に一番症状が強く、亀頭や陰茎体部に病変がみられることが多いです。また、鼠径リンパ節の腫れや尿道分泌物も見られます。アナルセックス(肛門性交)があれば肛門周囲や直腸粘膜にも病変が出現します。また、発熱を伴うこともあります。
HSVに初めて感染したことを「初感染」、初めて症状が現れたことを「初発」といいます。 HSVに初めて感染した時に症状が起きる「初感染初発」と、初めて感染した時には症状は起こらず、潜伏感染していたHSVが何らかの刺激で再活性化し症状が起こる「非初感染初発」と、初発以降に症状が再発した場合を「再発」と分類します。性器ヘルペスの60-70%は再発です。それぞれの症状が異なるため以下に特徴を述べます。
性行為などの感染機会が不明で初めて発症した場合は非初感染初発が考えられます。既に感染・潜伏していたHSVが何らかの誘因により再活性化され症状を起こしますが、男女共に症状は初感染初発と比べて軽いことが多く、リンパ節の腫れや発熱などの全身症状も見られないことが多いです。ただし、高齢者や免疫抑制患者では症状が重くなることもあるため注意が必要です。
潜伏感染しているHSVの再活性化により再発したもので、再発のきっかけは疲労、風邪、月経、性交渉などが多いです。HSV-1に比べHSV-2に感染した場合は再発頻度が高いことが分かっています。再発の頻度は月に2-3回から年に1-2回までバラツキが多いです。再発部位は初発と同じ部位のことが多いが、臀部や大腿部など別の部位に再発することもあります。症状は軽く、治癒までの期間も1週間以内と初発より短くなります。 男性 水疱や浅い潰瘍ができます。同時に全身倦怠感や下肢の違和感が出現することがあります。症状がなくても尿道や肛門周囲に再活性化したHSVを認めることがあり(無症候性排泄)、パートナーへの感染の危険があります。 女性 病変の数は1-数個程度で、発熱やリンパ節の腫れなどは見られず症状は軽いです。症状がなくても腟分泌物中に再活性化したHSVを認めることがあり(無症候性排泄)、パートナーへの感染の危険があります。
検査には抗原検査(材料:病変の擦過検体)と抗体検査(血液)があります。抗原検査は10-15分程度で結果が判明しますが、抗体検査は結果が出るまでに数日かかります。抗原検査は信頼度の高い検査ですが、病変が小さい場合に偽陰性となることがあります。抗体検査は抗体が陽性であっても過去に感染したことを証明するだけで、1回の抗体検査のみで現在の感染を証明することは困難ですが、間隔をあけて抗体価を再度測定することで診断に有用なことがあります。抗原検査の他に病変から検査する方法としてウイルス分離培養法、核酸診断法があります。検査によって保険適応ではないものや、型判定ができない検査があったり、受診医療機関ごとに実施できる検査も違いますので、受診時にご確認ください。
1
医師問診
2
抗原検査もしくは抗体検査
3
検査方法により即日もしくは2週間後結果説明
性器ヘルペスの治療は抗ヘルペスウイルス薬の内服、外用、点滴治療があります。初発例では早期に診断して十分な量の抗ウイルス薬を投与することで潜伏感染ウイルス量を減らし、再発回数を減らすことができる可能性があるため、内服及び点滴で十分に治療することが望ましいとされています。 性器ヘルペスの再発では、軽症のことが多いですが、女性の場合は腟や子宮頸管にも再活性化したウイルスがいる可能性があるため、外用薬だけでの治療はすすめられません。内服治療が推奨されており、治癒までの期間が短縮されます。難治性の場合はHIVなどの感染が合併していないか確認する必要があります。 妊婦が分娩時に性器ヘルペスを発症すると赤ちゃんに感染し、新生児ヘルペスを発症することがあります。新生児ヘルペス(全身型)は20-30%が死の転帰をとるため、産道感染しないように帝王切開での分娩が勧められています。妊娠中でも抗ヘルペスウイルス薬は使用可能です。
症状がある時は性交渉を控えてください。症状がない時でもコンドームを使用することで感染リスクを下げることが出来ますが、感染を100%防ぐことはできません。 性器ヘルペスがいつ再発するか分からないといった不安や、パートナーに感染するのではないかという不安が生じ、それが精神的なダメージになり問題となります。再発を繰り返す場合(年6回以上の再発)は再発抑制療法(抗ヘルペスウイルス薬を1年間内服)の適応となりますので医療機関にご相談ください。
公益財団法人 性の健康医学財団理事長が監修 性器ヘルペスについて
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