INDEX
1.
下肢静脈瘤とは?
2.
危険因子
3.
症状
4.
病態
5.
検査方法
6.
手術適応
7.
治療方法
8.
診察・治療の流れ
9.
執刀医紹介
10.
Q&A
下肢静脈瘤は本邦において推定約1000万人が罹患していると考えられている一般的な疾患です。潜在的に多くの方が患っているにもかかわらず、病気という認識が乏しく、また診断/治療されずに放置されていることが多い疾患です。確かに放置されていても命にかかわることがなく、重症感に乏しいため、かかりつけ医にとっても治療の対象とされることが少ない病態です。 しかし、下肢静脈瘤は専門医の診断を受け、適切な治療を受けますとそのQOL(生活の質)は格段に改善します。
下肢静脈瘤は女性に多く、特に妊娠、出産を契機に出現してくる方が多いです。また、年齢、長時間の立ち仕事、家族歴なども静脈瘤の危険因子となります。
下肢静脈瘤の代表的な症状は、重だるさ、むくみ、こむら返り、疼痛、かゆみ等です。これらの症状は、老廃物を多く含んだ静脈血が下肢に滞ることで出現するものと考えられています。症状が進行すると、表在静脈の瘤化(図1-(a))に加え色素沈着(図1-(b))、脂肪皮膚硬化症や、難治性皮膚潰瘍(静脈うっ滞性皮膚潰瘍、図1-(c))を形成するようになります。中には、静脈瘤の中に血栓を形成し、炎症を起こし、痛みがでる場合もあります(血栓性静脈炎)。 図1
下肢静脈には下肢の筋間を走行し最も血流の多い深部静脈と、下肢表面を走行している表在静脈があります〈図2-(a)〉。表在静脈には、下肢内側を走行する大伏在静脈とふくらはぎの裏側を走行する小伏在静脈があります。大伏在静脈は下肢の付け根で、小伏在静脈は膝の裏で、それぞれ深部静脈に合流します。また、ところどころ表在静脈と深部静脈を横につないでいる枝があり、穿通枝というものもあります。静脈の内部には、静脈弁が数カ所にあり、逆流を防ぐ役割をしています。動脈には心臓という強力なポンプがありますので弁は必要ありませんが、静脈の場合はポンプの代わりをしているのが、下肢の筋肉などしかなく、静脈弁が血流を一方向(心臓に向かう方向)に保つ上で重要な役割をしています。 しかし、この弁が破壊され機能が低下しますと立っているときには、静脈内の血液は重力に従って下肢末梢の方向に逆流し〈図2-(b)〉、静脈内の血液がふくらはぎなどに滞ってしまいます。これを静脈のうっ滞といいます。表在静脈には高い圧がかかり、徐々に拡張し静脈瘤となります。また、皮膚には色素が沈着し黒ずんできて〈図1-(b)〉、さらに進行すると、皮膚が厚く固くなり、最終的には潰瘍が下腿に出現する場合もあります〈図1-(c)〉。 上記のような静脈瘤は一次性静脈瘤として治療の適応となるものですが、静脈瘤の中には、二次性静脈瘤として手術治療の適応とならないものがあります。二次性静脈瘤は、深部静脈に血栓ができて血流が途絶え、その結果、表在静脈の血流が増加し、拡張してできてくるものです。静脈瘤となっている表在静脈が足の血液を心臓に返す血流の重要なバイパスになっているため、手術治療の対象外となります。 図2
静脈瘤の検査としては、駆血帯やドップラー聴診による理学的検査の他、画像検査としては、エコー、CTやMRIなどがあります。 一次性静脈瘤の場合、ドップラー聴診検査と、超音波検査で十分病態を把握することができます。二次性静脈瘤の場合は、静脈の逆流・怒張部位(特に骨盤内・陰部)や、深部静脈血栓症の部位を明確にするために、画像検査が必要となります。
下肢静脈瘤に関する特有な下肢のおもだるさ、むくみ、疼痛、こむらがえりなどを訴える場合、静脈環流障害に起因する色素沈着、湿疹、脂肪色素変性、潰瘍や血栓性静脈炎、静脈瘤部の外因性出血を認める場合に加えて、美容的問題を抱える場合に手術が適応になります。さらに血管内焼灼術(レーザー治療)の適応は“下肢静脈瘤に対する血管内内焼灼術のガイドライン”に準じ,伏在静脈に弁不全を有する1次性下肢静脈瘤が適応となります。 伏在静脈弁不全の定義としては大伏在、小伏在あるいは副伏在静脈にデュプレックススキャンにてミルキングまたはバルサルバ負荷を加え、0.5 秒以上の逆流を認めたものを弁不全ありと診断します。超音波検査は立位あるいは座位で行います。
下肢静脈瘤治療には、血管内焼灼術(レーザーまたは高周波)、血管内塞栓術(医療用接着剤グルー)、静脈瘤切除、硬化療法、高位結紮術、ストリッピング術などがあります。それぞれの治療特性をいかし、患者さまのニーズに合わせて治療法を選択、組み合わせることが重要です。
問診・視診・触診・ドップラー検査・超音波検査を行います。手術適応を吟味し、治療適応と判断しましたら、手術方法を提示・ご説明します。手術同意書を取得後、手術日決定、術前検査(採血、レントゲン、心電図)を行います。弾性ストッキングの着脱指導含め、手術前オリエンテーションを行います。
全例、局所麻酔下に日帰り手術を施行します。 術後圧迫療法は重要です。術後血腫の予防・軽減のために、弾性包帯/ストッキングよる圧迫療法を行います。その際に、皮膚かぶれ予防に、軟膏塗布(ステロイド+ワセリン等)します。
術後1日〜3日目(72時間以内)に来院して頂き、下肢超音波検査を行います。その後、術後1か月、6か月、1年で受診して頂き、定期検査を行います。
執刀医馬場 健
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