INDEX
1.
HIVとは
2.
原因
3.
感染経路
4.
症状
5.
検査方法と検査ができる時期/潜伏期間
6.
治療方法
7.
予防方法
ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)は全身の免疫細胞に感染するウイルスであり、無治療のまま長時間経過すると免疫系が徐々に破壊されることで様々な感染症を発症するようになります。これが後天性免疫不全症候群(AIDS:エイズ)と呼ばれる状態です。 近年、治療薬の開発が進んだことで、早めに治療を受ければ免疫力を落とすことなく、通常の生活を送ることが可能となってきています。患者数は、1990年代~2000年代においては、新規HIV感染者報告数は増加傾向にありましたが、2008年以降は横ばいに転じている状況です(下記「エイズ・HIV報告数推移」参照)。ただ、世界中で感染者はおよそ3670万人、年間180万人の新規感染者と100万人のエイズによる死亡者が発生しており、現在地球上に存在する感染症の中でも最も深刻な感染症の一つといえるでしょう。
病原体として、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus1:HIV-1、human immunodeficiency virus2:HIV-2)を原因とします。
HIVの精液・腟分泌液・血液・母乳にウイルスが存在し、主な感染経路は、性交渉(オーラル、アナルセックス含む)、血液を介した感染、母子感染の3つです。性交渉による感染が70%以上を占め、男性同性間性交渉による感染が多くみられます。 感染者の体液が健常な皮膚に触れても感染はしませんが、粘膜や傷口に直接触れると感染する可能性があります。血液感染に関していうと、覚醒剤の静脈注射の回しうちなど注射器具の共有や輸血によって感染することがあります。 日本では、現在、献血された血液は厳重な検査により最高水準の安全が確保されていますが、きわめて稀とはいえ、感染の可能性を完全には排除できません。なお、血液凝固因子製剤については加熱処理が行われているので、現在の製剤で感染する心配はありません。 人間には体内に侵入してくるウイルスや細菌から身を守る免疫システムが備わっています。 この免疫システムの司令塔が白血球の中のリンパ球の一種であるヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞は体内の侵入者を発見すると他の免疫細胞に指令を出して攻撃を命じます。 HIVは、このヘルパーT細胞に寄生し、増殖した後、この細胞を破壊してしまいます。これを繰り返すことで、免疫システムが正常に働かなくなり、健康なときには問題にならないような感染症や癌などを発症します。この状態を後天性免疫不全症候群(Acquired Immuno Deficiency Syndrome:AIDS エイズ)と呼ばれる状態です。
病気の時期は大きく分けて感染初期(急性期)、無症候期、エイズ発症期にわけられます。
HIVに感染すると、感染後2週間目から4週間目くらいの間に、HIVは急激に体内で増殖を始め、この時期に発熱、咽頭痛、筋肉痛、皮疹、リンパ節腫脹、頭痛などのインフルエンザに似た症状が出現します。症状は全く無自覚の程度から、意識障害に至るほどの強いものまでその程度は様々です。初期症状は数日から10週間程度続き、その後自然に消えてしまいます。
感染後の免疫反応により、ピークに達していたウイルス量は減少していきます。 急性期を過ぎると何も症状の出ない時期が数年から10年程続きます。この時期は自覚症状がないので、HIVの検査を受けない限り自分ではHIVに感染していることが分かりません。症状が出なくても、体内ではHIVが増殖を続けており免疫力は徐々に低下していきます。 この期間は、HIV感染症に特徴的な症状はほとんどありませんが、他の性感染症や肝炎、繰り返す帯状疱疹、ヘルペス、結核、口腔カンジダ、赤痢アメーバなどがきっかけとなってHIV感染が判明することも少なくありません。
治療を受けないで自然に経過した場合、免疫力の低下により健康な人なら感染しないような病原体による感染症や悪性腫瘍、神経障害などの様々な病気を発症するようになります。食欲低下、下痢、低栄養状態、衰弱なども出現します。代表的な病気としてカリニ肺炎、サイトメガロウイルス感染症、非定型抗酸菌症、悪性リンパ腫などがあります。HIV感染があり、上記のような23の指標疾患のいずれかにかかった時点でAIDSと診断されます。
一般的に、HIVを診断する時には、「スクリーニング検査」と「確認検査」の2種類の検査を行います。HIV感染症を疑ったときに、まず行われる検査がスクリーニング検査です。スクリーニング検査では見落としのないように作られている一方で、本当は感染していないのに、陽性(感染している)という結果がでてしまうことがあります。そのため、スクリーニング検査で陽性と判断されただけでは、HIV感染が確定したわけではありません。確認検査によってウイルスのタンパク質の有無を確認し、本当に感染しているのかを確認することが必要です。 HIVに感染するリスクのある行為からHIV陽性と判定されるまでの期間は1〜3ヶ月といわれています。HIV検査を受けて陰性と判定された場合でも、そのような行為から3ヶ月未満であった場合には、3ヶ月以降にもう一度検査を行う必要があります。
1
医師問診
2
採血検査
3
1週間後結果説明
治療の目標は、体内のウイルス量を検出できないレベルまで低くしてそれを維持することによりAIDSの発症を防いで、感染していない人と同じくらい長く、健康的な社会生活を送ることができるようになっています。治療を継続して体内のウイルス量が大きく減少すれば、他の人への感染リスクをゼロに近いレベルまで下げられることも確認されています。 3種類以上の抗HIV薬を組み合わせて内服する多剤併用療法が基本でした、2013年から本邦でも3-4剤が1錠になった合剤が使用可能となり、1日1回1錠という治療が一般化してきました。治療の際にはHIV感染症の治療を専門的に行なっている医療機関での治療を強くお勧めいたします。
不特定多数の人の人と性交渉をしない、コンドームを正しく使用する(最初から最後まで、オーラル・アナルセックスでも使用)ことが性感染症予防の基本です。HIVに感染している方は抗HIV薬の確実な内服を続けることも感染予防行動の1つです。自分がHIVに感染しないために相手にHIV感染させないために、また、他の性感染症等から自分を守るためにも感染予防行動が必要です。母子感染予防としては、HIV感染が判明している母親には抗HIV薬を内服してもらい、帝王切開で分娩する、赤ちゃんに母乳を与えないなどの対策があります。
当院では予約優先制のため、ご予約いただいた方を優先的にご案内しております。診察や処置の内容によってお待ち時間が異なる場合がございます。また、混雑時にはお待ち時間が長くなる可能性がございますので予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
各院の診療時間・アクセスは下記よりご確認ください。
MYメディカルクリニック渋谷
MYメディカルクリニック大手町
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい