INDEX
1.
B型肝炎とは
2.
症状
3.
検査方法と検査ができる時期/潜伏期間
4.
治療方法
5.
予防方法
B型肝炎ウイルス(HBV)が血液・体液(精液や腟分泌液)を介して感染して起きる肝臓の病気です。肝炎になると、肝臓の細胞が徐々に壊れていき働きが悪くなってしまいます。 HBVの感染経路としては垂直感染と水平感染に分けられます。垂直感染は出生時の母子感染です。水平感染は傷のある皮膚への体液の付着 、性交渉などの濃密な接触、静注用麻薬の回し打ち、入れ墨、ピアスの穴あけ、カミソリや歯ブラシの共用、不衛生な器具による医療行為、出血を伴うような民間療法、医療者の針刺し事故や輸血などにより感染するものです。体液や直接の粘膜同士の接触は感染の可能性があると考えたほうがよいですが、基本的には健常な皮膚からは感染しませんので、学校や会社などの日常生活で感染することはありません。 日本におけるB型肝炎患者数の推移は以下の通りですが(「B型肝炎報告数推移」参照)、届出義務があるのにも関わらず十分に届け出がされていないとの背景があり、実際は全国で年間10000人以上の新規感染者がいると推定されています。
感染した後の経過は、「一過性感染」と「持続感染」の2つに区別されます。 急性肝炎(一過性肝炎)は感染して1~6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸(体や白目の部分が黄色っぽくなること)などが出現します。急性肝炎を発症する人は感染者の約20〜30%と言われ、感染者の半数以上は症状が出ないまま自然に治ります。また、1〜2%の患者さんはが劇症肝炎(急性肝不全)という重症の肝炎を発症し、命に関わるため注意が必要です。 出産時ないし乳幼児期にHBVが感染すると、幼い体の免疫系はウイルスを病原体と判断できず、持続的にウイルスが存在し続ける状態(持続感染)になります。生後数年~数十年間は肝炎を発症せず、HBVは体から排除されずに体内で生存しています。この状態を無症候性キャリアと言います。思春期を過ぎると体の免疫系が発達し、HBVを異物(病原体)であると認識できるようになります、白血球がHBVを体から排除しようと攻撃を始め、HBVの感染した肝細胞を壊すことにより肝炎が起こり始めます。一般に10~30歳代に一過性に強い肝炎を起こし、多くの場合肝炎はおさまっていきます(非活動性キャリアと言います)。このように思春期以降に一過性の肝炎を起こした後は、そのまま肝機能が一生安定する人がおよそ80~90%ですが、残りの10~20%の人は肝炎の状態が持続します(慢性肝炎)。慢性的に細胞が壊れ続けると、肝臓に傷跡のような線維化が起きます。線維化が進行して肝臓が固くなってしまったのが肝硬変で、肝細胞癌になる人もいます。慢性肝炎は症状がないため、健診などで肝機能障害を指摘されてみつかる場合もあります。
HBVに感染しているかどうかは、血液検査で判定します。性交渉による感染では感染機会から2~6週間後にHBs抗原陽性となり、針刺し事故や輸血による感染では数日から数週間で陽性になります。侵入したウイルス量の違いによります。HBs抗原が陽性であれば、100%HBVに感染していると考えられます。他の血液検査の項目も組み合わせて感染の状態をみていきます。
1
医師問診
2
採血検査
3
1週間後結果説明
急性B型肝炎は自然に軽快することが多いので、食欲低下などあれば水分や栄養補給のための点滴を行うなどの治療を行います。治療として抗ウイルス薬を使うことはなく、自身の免疫によってウイルスが排除されるのを待ちます。しかし、劇症肝炎になった場合は命の危険があるため、抗ウイルス薬の使用や特殊な治療が必要になります。肝臓が機能しなくなった場合には肝移植が必要になることもあります。 慢性B型肝炎の患者さんに持続感染しているHBVは身体から完全排除することは出来ないことがわかっています。慢性B型肝炎でHBVが肝臓の炎症を起こさず静かにしている場合やウイルスが少ない方は経過観察になることがあります。治療法は大きく分けると、抗ウイルス療法(インターフェロンや核酸アナログ製剤)と肝庇護療法の2つです。病状や合併症によって治療法が決定されます。
まず、HBVに感染するような行為は避けることが重要です。具体的には性交渉ではコンドームを正しく使用する、歯ブラシやカミソリの共用はしない、注射の回し打ちはしない、入れ墨やピアスなどの器材は消毒済みの器材を使用するなどです。また、他人の血液に触れる機会が多い医療従事者、パートナーがHBVキャリアの方など感染リスクが高いは、ワクチンを接種することで予防できます。 日本の血液製剤は高精度の検査でHBVのチェックがなされていますが、輸血後B型肝炎は極まれではあるものの、残念ながらまだ発生しています。HBVに感染しているかを調べる目的で献血することはやめましょう。 また、HBVキャリアの母親からの垂直感染(母子感染)を予防するには、生まれた赤ちゃんに感染予防措置を行います。
当院では予約優先制のため、ご予約いただいた方を優先的にご案内しております。診察や処置の内容によってお待ち時間が異なる場合がございます。また、混雑時にはお待ち時間が長くなる可能性がございますので予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
各院の診療時間・アクセスは下記よりご確認ください。
MYメディカルクリニック渋谷
MYメディカルクリニック大手町
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい